嘘つきお嬢様は、愛を希う
「っと……大丈夫?」
「え……」
さっきの声とはまた別の声に、私は困惑しながら顔をあげた。
私を受けとめてくれたらしいその人は、こちらの様子を窺うように目を細める。
──すんごい、綺麗な顔……。
こんな状況だというのに、それを忘れるほど整った顔立ちに思わず魅入ってしまう。
「うん、聞いてないね。まあいいけど」
呆気にとられて答えられずにいる私をそっと立たせると、彼は背に庇うように前に進み出た。
「すぐ終わるから、そこ動かないで」
「ついつい力入っちまった。大丈夫か、お前」
頭の後ろを掻きながら、目の前に転がる赤髪の男をのぞき込む、ひときわ大柄な男の人。
きっとこの人が助けてくれたんだろうけど……。
相当重い一撃を食らったのか、体を折って苦しそうに悶えている赤髪の男を見て私は息を呑んだ。