嘘つきお嬢様は、愛を希う
気づきたくない
◇
ふとまぶたの裏に感じた眩しさに目を覚ますと、しめきったカーテンの隙間から柔らかな白い光がさしこんでいた。
淡く浮かぶ部屋の風景がいつもと違うことに気づき、しょぼつく目を擦りながら、のそのそと起き上がる。
あれ……もう、朝?
あくびを噛み殺しながら視線をさまよわせて、すっと目がとまったのはアンティーク調の柱時計。
「……10時?」
その針が指し示す時間に頭がしばしフリーズする。
10時……10時……10、時?
数秒かけてようやく状況を飲み込んだ瞬間、もやついていた霧が晴れて、一気に眠気がぶっ飛んだ。
「嘘でしょ、寝すぎたっ!」
あんまり寝心地の良いベッドのせいか、ただ疲れていたのかは分からない。
けれど、さすがにこれはやらかした。
いつもならどんなに疲れていても七時には目が覚めるのに、いったい何がどうしてこんな時間に……!