嘘つきお嬢様は、愛を希う

気づきたくない






ふとまぶたの裏に感じた眩しさに目を覚ますと、しめきったカーテンの隙間から柔らかな白い光がさしこんでいた。


淡く浮かぶ部屋の風景がいつもと違うことに気づき、しょぼつく目を擦りながら、のそのそと起き上がる。


あれ……もう、朝?


あくびを噛み殺しながら視線をさまよわせて、すっと目がとまったのはアンティーク調の柱時計。



「……10時?」



その針が指し示す時間に頭がしばしフリーズする。


10時……10時……10、時?


数秒かけてようやく状況を飲み込んだ瞬間、もやついていた霧が晴れて、一気に眠気がぶっ飛んだ。



「嘘でしょ、寝すぎたっ!」



あんまり寝心地の良いベッドのせいか、ただ疲れていたのかは分からない。


けれど、さすがにこれはやらかした。


いつもならどんなに疲れていても七時には目が覚めるのに、いったい何がどうしてこんな時間に……!

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