暴君と魔女
その唇に再度柔らかく口付け啄むと、すぐに四季が唇を離しおずおずと声を響かせる。
「・・・っ・・・抱きしめていただけるのなら・・・」
「・・・・・・・・・煽ってるのか?」
「・・・は?」
「ふっ・・・・もう、・・いい・・・・・」
駆け引きでも天然でも、そうしたいと思っていたのは自分も同じで。
会話も無駄だと細い体を引きよせ腕の中に閉じ込めた。
頼りない存在のぬくもりに安堵して、今までの重荷の様な苦しさが緩和する。
こうして・・・・・【契約】という形でもずっと自分の傍にあるというのならそれでもいいと思ってしまった。
でも・・・・、忘れてた。
【契約】なんて物はあっさりと崩れ破棄されるものだって。
『望様を・・・・愛してるんです・・・・』
望んだ言葉が契約破棄の言葉だったと、
気づいたのはその姿を失ってから・・・・・・。