暴君と魔女
つまりはなんだ・・・・。
こいつにとって俺は秋光同様世話すべきお子様だと言いたいのだろうか?
そんな裏を四季が抱いていたかは知らないけれど、複雑な心情を抱いて寝室の扉を開いた。
「最新設備のキッチン調べておいてやるよ」
部屋から体を出しながらその言葉を残すと四季が屈託のない笑顔を浮かべたのを見逃さない。
掴めない女。
だけど・・・・体が軽い。
久しぶりに睡眠を取った体は恐ろしく軽い。
頭もすっきりして今なら仕事もいつもの倍は捗りそうだと思ってしまう。
すっげぇ癪だが・・・・。
「今日は【吉】か・・・・?」
そう呟き明るい光がさす廊下を歩いて自室に向かった。
四季との生活の幕開けは、恐ろしく快適に動く自分の体から始まった。
「グレーアイの・・・魔女・・・いや、【セイレーン】・・か?」
不意に子守唄を思い出してその名前を当てはめ小さく笑う。
そして忘れていた。
自分がこんな風に自然と笑みを浮かべるのも久しぶりだったって事を。
だけどこの時はまだ気がつかない。
俺の世界に徐々に広がる四季の存在。