暴君と魔女
未来を語る四季に密かに安堵した。
先の確定。
この先もずっと傍にいると言われているようで、決して消えきらない不安も渦巻くのに、愚かにもその幸せの余韻を先に感じたくて後回しにした。
そうして、熱を分け合って、微々たる睡眠をとり迎えた目覚め。
体に残る倦怠感に眉根を寄せ、次に思い出す満足感と追って思い出す焦燥感。
一抹の不安に慌てて起き上がると隣には四季が寝息を立てる。
なんだ・・・いなくなっているかと思った。
ふぅっと深く安堵の息を吐くと携帯に手を伸ばし時刻を確認する。
良かった。遅刻にはならなそうだとその事にも安堵し、着替えをしようと体重移動を計ると。
「・・・望・・・・・・」
「・・・起こしたか」
「・・・・・・でも、起きれません」
返された言葉とまどろんだ表情に小さく笑いこめかみに口付ける。
それをじっと受け入れた四季が唇が離れるとなんとか動きだそうとするのに声を落とした。
「いい、寝てろ」
「・・・・何だか・・・堕落した気が」
「そうさせた俺が許してるんだ。黙ってそこで回復してろ」
ピッと指さしそれを支持すると、きょとんと見つめていた四季が子供の様にふわりと笑い。
グッと心が掴まれた事をひた隠し誤魔化すように浴室に向かう。
適当にシャワーを浴び部屋に戻れば未だベッドで丸くなる姿は猫の様で。
近づいてその頭を撫でれば閉じていた目蓋がスッと開きグレーが覗いた。
「・・・・寝てなかったのか?」
「・・・寝たら・・・望を見送れない」
「だから・・・いいって」
「私が・・・・そうしたいんです」
言うと多少は回復していたらしい体を起こし、露わになる肌に恥らって布団を巻きつける。
今更な恥らいに感じるのに四季らしくて口元に弧を描くとその体を引き寄せ唇を重ねた。
堕落・・・・上等じゃないか。
誰にどう非難されても構わない。
嘲られても、罵られても、初めて欲しいと思った物を手にした歓喜に勝るものが無い。
柔らかく啄むキスをお互いに繰り返し、そっと胸に添えられた四季の手で唇を離した。