海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。
「......さん」
「......」
「...折山さん?」
隣の彼の声に、わたしはハッとして我に返った。
「っあ、ご、ごめん。ぼーっとしちゃって...」
「この13行目から20行目の作者の描写の理由を隣どうしで話し合えって」
今は現代文の時間。
よくこうして登場人物の気持ちを考える時間を与えられる。
「よ、よく読んでみる」
わたしはそれだけ言って前後の文を含めて文章を読み始める。