海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。


保健室なんて、行くほどじゃないのに。


というか、頭が痛いのだって気のせいなのに。


海くんってば...。


彼は一言も話さない。


ただ保健室に向かって真っ直ぐ歩いている。


「う、海くん。

ありがとう...わたし、一人で行けるよ。海くんは教室戻って」


わたしはそう言って、海くんの後ろから前に一歩出た。


そのまま歩き出そうとした。


だけど、動けなかった。


「待って」


......海くんに、腕を捕まれたから。

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