海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。
真っ直ぐ教室に戻るつもりだったのに、俺の足は音楽室へと向かっていた。
心がざわついた。
あそこには......
きっと、折山さんが、待っているんだ。
俺の予想通り、二人の声が聞こえてきた。
音楽室と音楽準備室は中で繋がっている道があり、容易に会話は耳に届いた。
......って。
俺、なにやってんだ。
立ち聞きなんて、趣味悪すぎ。
二人の会話を聞いて、なんになる?
俺にはまったく、関係のないことじゃないか。
立ち去ろうとした、そのとき。