海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。


「ふえぇ...うぅ~...」


ぐすりぐすりとしゃくり声をあげて大粒の涙を流す彼女に、

俺はカルチャーショックに近いものを感じた。


いつも明るくて穏やかな折山さんが......こんなにも、感情のままに泣いている。


先輩には、“わかりました”と言っただけだったのに。


折山さんは優しいから、きっと先輩の受験のことを思って、なにも言わなかったんだ。


......なんて強い子なんだろう。


......そして、なんて弱々しい子なんだろう。


俺の心は一瞬で奪われた。

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