海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。
ガラガラ
「すみません。寝坊しました」
一限目が終わるころ。
教室の扉を遠慮がちに開いて入ってきたのは、いつもより少しだけミルクティー色の髪の毛が乱れた海くんだった。
やっぱり寝坊だったんだ。
それこそ珍しい。
昨夜、なにかあったのかな。
先生は特に怒らずに「はい、欠課ね」とだけいって授業を再開した。
「折山さん、ごめん。このあとの日直の仕事、俺全部するから」
一限目が終わり、十分間の休憩に入るなり、海くんはこちらに体を向けて深々とわたしに頭を下げてきた。