海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。
「...海、どしたんだよ?
そんなこと言うなんて、海らしくないぞ!スマートにいけよ!」
ばん!と肩を叩かれる。
スマートってなんだよ。
スマートになんてできるわけないだろ。
俺にそこまでの余裕なんかあるもんか。
「ダサいって自分で言うのが一番ダサいんだぞ!!
それなら人から言われるほうがマシだ!」
「...」
斗真は珍しく真面目な顔つきをした。
「何があったら知らねぇけど、自分でダサいって思うってことは、お前はその問題に真っ正面から立ち向かってないって証拠だ!
もしちゃんと向き合って自分ができることをやり遂げたなら、ダサいなんて思わないはずだ!」
「...斗真...」
斗真のその言葉は、俺の心を一直線に貫いた。
目が覚める思いだった。
「つーか、今日鍋食べに行かね?おいしいところ見つけたんだよ!」
「...わるい、また今度な」
「えー!!」
「たまにはいいこと言うじゃん、斗真」
「えっ?」
俺はハテナマークが浮かんでいる斗真を放って、その場から来た道を全力で駆け出した。