海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。


「...わたし、先輩とは付き合わないよ。今から、断りに行くつもりだったの」


「......え?」


わたしの言葉に、海くんは心底驚いた表情をする。


「それ、は...先輩が卒業するから、だよね?

折山さんは、本当は先輩が好きなんだよね?

それなのに...」


彼はまるでわたしと先輩との関係をすすめてきているようだ。


告白してくれたのに、矛盾してる。


そもそも、海くんはどうしてわたしと先輩とのことを知っているのであろう。


「先輩のことは、好き、だった。

告白してくれたときも、正直すごく心が揺れ動いた。

でも...わたし、先輩よりも、気になる人がいるの。

ううん...好きな人」


もし、その人がいなかったら、わたしは確実に尚先輩とやり直していた。


でも、その人が現れて...

いつのまにか、わたしの中でいっぱいになっていったんだ。

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