海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。


「...だれ?」


海くんは真顔でつぶやくように尋ねてきた。


そしてハッとしている。


きっと心の声が漏れてしまったのであろう。


「折山さんのことずっと見てきたのに...、全く気がつかなかった」


わたしが先輩の他に好きな人がいることよりも、

気がつけなかったことにショックを受けている様子の彼。


なんだかピントがずれている気がする。


「...知りたい?」


「...そう言うってことは、俺の知ってる人ってことだよね?」


「...かな」


一発では教えてあげない。


よく考えて、海くん。

< 168 / 220 >

この作品をシェア

pagetop