海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。


だからわたしが代わりにそんな遠慮がちな彼に手を伸ばしたの。


本当の気持ちを素直に伝えてくれてありがとう。


今度は、わたしの番。


「...わたしも、海くんが好きです」


きゅっと彼の指先を握りしめた。


指先だけなのに、ドクドクと脈が伝わってくる気がした。


「嬉しすぎて...言葉にできない」


絞り出すように告げる言葉に、わたしは胸がきゅんとして止まらない。


海くんがどれほどわたしを想ってくれているのかすごくすごく伝わる。


「ずっと好きでいてよかった......」


そんなに前から想っていてくれてたんだ。


「ありがとう、海くん。でもね...」


わたしはそのまま言葉を続けて。


「今は、海くんの気持ちのほうが大きいかもしれない。わたし、海くんがわたしのこと想ってくれているのと同じくらい、海くんのこと、好きになりたい。

だから...もっともっと...好きにさせてくれる?」


海くんの目を見て真っ直ぐにそう告げれば、

...彼は力が抜けたようにへたへたとしゃがみこんでしまった。


彼のミルクティー色の髪の毛が少し下にあって、思わず触りたくなる。


「...折山さん、俺をどうしたいの...」


つぶやく彼に、わたしはハテナマークが浮かぶ。


「どうって...」


どういう意味...?


彼はゆっくりと立ち上がり、最初と同じくらい真剣な瞳で


「...うん、もっと好きにさせてみせる」


そう言ってくれて、そして最後にははにかむように甘く微笑んだ。


その笑みにわたしの胸はどうしようもないくらいに高鳴って、海くんと両思いなことを強く実感した。


海くん、

すぐに追い越すから、

待っててね?

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