海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。
「寒いね~」
わたしは試すように手のひらをスリスリしたり、口を覆うようにしてはあーっと息をはいたりしてみた。
「指、少し赤くなってるね」
食いついたっ!!
自分からしかけたくせに、少しどきっとした。
「冷え性なの。特に指先が」
「そっか。手袋したほうがいいね」
「...。そうだね」
って、ちがーう!!
そこは、手を繋いでほしいよ。
海くんと手を繋ぎたいんだよ。
えーーいっ、もう繋いじゃえ。
わたしは勢いは100%、繋ぎ方は遠慮がち100%で彼のその綺麗な手のひらに自分の手のひらを重ねた。