海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。
「わたしは、卒業式の日から、付き合ってるつもりだったよ」
「付き合うなんて、一言も...」
困惑してる彼に、わたしはとりあえず納得する。
そっか、付き合おうとは言ってないもんね。
「わたしだけだったんだ...」
正直残念で、わたしはわざとすねたふりをした。
だって、わたしのこともっと好きにさせるって言ってくれたのに。
「も、もちろん俺も折山さんと付き合いたいし、もしかしてもう付き合ってるのかもって思ったけど、俺の勝手な勘違いだったらどうしようと思って...っ」
慌てて言う彼に、わたしはある一言が気に入らなくて、ぷいっと横を向く。
「...お、折山さん」
「...」
「折山さんってば」
「......」
もう。いつまでもその呼び方するなら、もう振り向いてなんてあげないーー
ぐいっ
次の瞬間優しく肩を抱かれ、
予想外の出来事に目をぱちくりさせていると、そんなわたしの顔をのぞき込んで。
「...律花。俺と付き合って」
なんて少しだけ頬を染めて真剣な瞳で告げられて、
わたしは彼よりもっと赤くなり、高鳴る胸を感じながら「っ...はい」とうなずくことしかできなかった。
こうしてわたしたちは無事恋人どうしになることができたのでした。