海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。


「牛乳あったよ」


戻ってきた海くんは、わたしに水色のマグカップを手渡した。


「ありがとう海くん!」


わたしは牛乳を一口飲んで、机の上に置いた。


「部屋、綺麗だね」


わたしとちがってあまり物が多くないのもあるけど、海くんの部屋はとても整理整頓されている。


「...ほんと言うと、律花が来るから片付けただけだよ。いつもはもっと散らかってる」


「そうなの?じゃあ次は散らかったままにしてね!」


「ええ」


「見たいー!」


「じゃあわかった」


「うん!...あーッ!!」


そのときわたしは棚に置いてあるあるものに気がついた。


それは...わたしがあげた生キャラメルの箱。


それを手に取り中身を確認すると、...さすがにもうキャラメルはなかった。


海くんなら、あのまま食べてないということも...あり得た。


「あっ。...見つけないでよ」


“隠すの忘れてた”というようにわたしの手から空の箱を奪う。


「...捨てないの?」


「捨てられない。だって律花からの初めてのプレゼントだし」


「おおげさ!!」


しかもわざわざ棚に飾るなんて。


可愛すぎるよ海くん。


「ねえ、どっちから先に観る?」


海くんは話題を変えるように借りてきた二枚のDVDを手に取った。

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