海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。
コメディものと、ヒューマンもの。
「うーん。直感でヒューマンかな!」
「そうしよ」
DVDをセットしてくれる海くんをわたしはチラリと盗み見る。
シャツにパンツなラフな格好。
だけどやっぱり学校とは違う雰囲気で、かっこいい。
未だに思う。女の子に困らないだろう彼がわたしのことをずっと好きだったなんて。
毎日毎日、彼の愛を感じる。
今は春休みだから、おはようのメールは毎日してくれるし、「律花の声...聞きたくて」と電話もしてくれる。
なんていうか、ソフトな溺愛。
だけど、わたしには今ひとつ悩みがある。
それは...気持ちでは、すごく好いてくれていることを実感してるんだけど、
実は...
海くんはわたしに一度も手を出してきたことがない。