海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。


「...ぐすん」


やばい、なにこれ。


めちゃくちゃいい話じゃん...。


泣けるとは噂で聞いていたけど、久しぶりにこんな泣ける映画観たかも...。


「律花、」


海くんは机に置いてあったティッシュをわたしに手渡してくれた。


なんて気が利くの~...。


隣の海くんの目にも少し涙がたまってる。


ほんといい話...。


映画を見始めてから、わたしと海くんの距離はずっと人ひとりぶん空いている。


なんだこの微妙な距離は!?もっとぴったり引っ付いて観たい!!と最初は思っていたけど、だんだん映画のほうに夢中になってしまったわたし。


せっかくのお家デートなのに、わたしのばか!


でも、わたしも海くんと同じ空間にいて、優しく笑いかけてくれるだけで幸せなんだけどね。

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