海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。


「あ~すっごく感動した...!」


胸がジーンとあったまるラストシーンに、わたしはいつまでも余韻に浸れそう。


「...律花の涙は綺麗だよね」


「え?」


「こっちの話。ところで、お腹すかない?」


「うん、ちょっとすいたかな」


「マドレーヌあるから食べる?」


「いいの?食べたい!」


「持ってくるね」


海くんはそう言って立ち上がったそのとき。


ヴーヴーと机に置いていた黒のケータイが揺れた。

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