海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。
それは海くんのもので、彼は部屋を出る前にそれを確認した。
「...律花ごめん。10分だけここで待ってもらってもいい?」
「??」
話はこうだった。
塾に通ってる中学一年生の女の子が、体調が悪くなり帰るみたいで、その子の両親は迎えにこれないし、海くんの両親も塾を放るわけにはいかないので、代わりに海くんにその子を家まで送ってほしいそうだ。
その子の家はここから歩いて5分だから、往復で10分。
「ごめんね」
「ううん、大丈夫!気をつけてね」
「ありがと」
わたしも一緒に行きたいけど、その女の子からしたら誰?てなるよね。
海くんを見送って、わたしは部屋でひとりとなった。