海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。



やっぱり人の家だから、少し落ち着かない。


しかも友達ではなく彼氏の家。


たった10分なのに、すごく長く感じる予感。


意味もなく部屋の中をパタパタと歩く。


そしてボフッ!とベッドの上に腰をおろした。


海くんが毎日寝起きしているベッド。


そっと上半身だけ横になってみる。


だれにも見られていないはずだけど、こっそり、こっそりと。


...海くんのにおいがする。


はあ...満たされる。


わたし、もしかしてやばいことしてる?


でも、海くんのにおい好きなんだもん。


こうして横になっただけで、海くんに包まれたかのような感覚におちいる。


...もし、あの体に抱き締められたら、わたし、どうにかなっちゃうかも...。

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