海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。
数秒ののち唇はゆっくりと離れたけど、まだすぐそこにあって、今にも触れてしまいそうで、微動だにできない。
彼の茶色い瞳と目があって、ドキドキと心拍数が上がって思わず指先が震えそうになる。
ふっと瞳が閉じられて長いまつ毛がわたしの肌をかすめたと思ったら、もう一度重なる、唇。
触れるだけの......優しいキス。
それだけで、わたしを酔いしれさせるには十分だった。
肩に手のひらをおかれ、唇が重なったまま海くんが足を動かすもんだら、自然とわたしも移動することになって。
わたしの足がなにかにぶつかって止まったと思ったら、次の瞬間、わたしの背中は布団の上に着地していた。
「......!」
海くんに......押し倒されている。