海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。


まだ4月というのに、やっぱり3年生のため、先生に受験オーラを出される毎日。


「律花ー!今日あたし彼氏とご飯食べるねっ」


昼休みになり、理佐がお弁当を2つ持ってそう言いに来た。


「もしかして、彼氏のお弁当作ってきたの?」


「うん、今日記念日なんだ~!」


「そうなんだ~!絶対喜ぶね!」


「律花もたまには佐久間くんと一緒に食べなよ!」


「うん、そうしようかなっ!」


わたしはさっそく海くんの席へ。


「海くん、一緒に食べよ~!」


「うん、食べよ。隣、座る?」


そこは真琴ちゃんの席。


普通なら“席借りよっと”みたいなかんじで座るけど、わたしはちょっとためらった。


「真琴ちゃんに借りていいか聞いてこようかな」


「中川ならいいって言うと思うよ」


ふわっと笑顔で告げられた言葉。


真琴ちゃんのことをよく知っている、というような言いぐさ。


...なんだかモヤモヤした。


「一応聞いてみるね」


後ろのロッカーにいた真琴ちゃんに、わたしは後ろから話しかけた。

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