海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。


「真琴ちゃんってクールだよね」


わたしは彼女の席に座り、お弁当を広げながらそう言った。


「中川?そうなのかな?」


やっぱり、海くんの前だとクールじゃないんだ。


「ボーイッシュだよね。律花とは、正反対なタイプ」


「...そうだね」


“律花とはちがうよさがある”

被害妄想かもしれない。

だけど、そんなふうに言われた気がしてならなかった。


「...海くん、今度お弁当作ってきてあげるね!」


わたしは勢いよく話題を変えた。


理佐のまねしよっと。


「ほんとに?今から楽しみ!!」


海くんがそんなふうに目をキラキラさせるから、

わたしは胸があったかくなる。


...うん、この笑顔は、わたしにしか向けられない顔。


不安になることなんて、なにもないよね。

そう思った。

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