海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。


職員室へはこっちの階段を使うけど、焼却炉へはまだ先にある階段を使う。


わたしは人足先に階段を降りて職員室へと向かった。


ガラガラ


「失礼します」


先生に日誌を渡して、鍵を棚にかける。


「失礼しました~」


ガラガラ


扉をしめて、体の向きを変えたそのとき。


すぐそこには少しだけ息のあがった海くんの姿が。


「!?」


海くんの手にはゴミは持たれていない。


「もう焼却炉行ってきたの!?」


いくらなんでもはやくないっ!?


「行ってきた」


「は、走らなくても」


「暑かったから」


たしかに走ったらあったかくなるけども。


海くんが謎すぎる。

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