海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。


「え。律花。それってデート?」


その日の放課後。


わたしは美帆ちゃんとドーナツ屋さんに寄った。


そこで海くんのマフラーの件について話した。


「え、ちがうよ?海くんにお詫びするだけだよ」


「休日に二人きりでショッピングでしょ?

だれがどう見たってデートじゃん」


ドーナツを食べながらそんなことを言い切る美帆ちゃん。


「そりゃ他人から見たらそうかもしれないけど。

わたしにとっては、償いでしかないよ!!」


「...海くんからしたらどうだろうね...」


「え?」


「ま、いいや。海くんが怒らなくてよかったね」


「そうなの!海くん優しすぎるよ」


「こりゃ楽しみがひとつ増えた」


「どゆいみ!?」


「こっちの話~」


美帆ちゃんはニヤニヤしながらわたしを見てくる。


もう、デートなんて海くんに失礼だよ!


だって、海くん好きな人いるんだもん。


わたしはただ海くんにお詫びしたいだけなんだから。

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