海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。


「うん!牛乳好きだから」


「毎日飲んでるもんね」


「知ってたの?」


「えっと...よく見かけるから」


「海くんも牛乳好きなんだよね?」


「...いや、好きではない」


この前、“一番好きな飲み物は牛乳”とか中村くんに言ってたような...?


「頑張って飲めるように練習してる」


「そうなの?えらいね!...でも、どうして?」


牛乳はこの世の飲み物じゃないって、牛乳を飲む人の気が知れないって、そう思うくらい苦手なら、

わざわざ練習なんてしなくてもいいんじゃ...?


「...だって、

俺が好きなのは牛乳じゃなくてーー...」


じっ...と彼の茶色がかった瞳に見つめられた。


わたしは一瞬キョトンとしてしまうけれど、

ドキンと心臓が跳ねたのが自分でもわかった。


海くんはとても綺麗な顔をしている。


そんな海くんに見つめられると、どうしても戸惑ってしまうよ。

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