海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。
「数学苦手友達だよなっ!!」
中村くんはおかしそうにそう答える。
「そ、そうだね...あはは」
海くん、絶対呆れてるよ。
毎回ほぼ100点に近い点数を取れる海くんからしたら、
個別で課題を出されるなんて論外だよね...。
「...。折山さん、俺でよかったら数学教えようか?」
「...えっ?」
「ちょ、海!!俺にも!!」
「斗真は知らない」
「なんだよそれー!!海が冷たいー!!...ん?」
すねた素振りの中村くんが、ふと目線を下にして動かなくなった。
その視線の先はーー海くんの机の横にかけてあるカバン...のチャックが半分空いていて、中身が少し見えているようで。
「っ生キャラメルじゃーん!!」
彼は海くんのカバンの中からそれを取り出して目をキラキラさせた。