海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。
「これ今やってる北海道展のやつ?海行ったんだー!一個もらっ」
「だめ」
「即答!?いいじゃんけち!」
「絶対だめ」
「え~」
「もうチャイム鳴るから自分の教室戻ったら?」
「あ、やべっ」
中村くんは時計を確認してから、ささくさとこの教室から去っていった。
キーンコーンカーンコーン...
「海くん、まだ食べてなかったの?」
わたしの声とチャイムが重なった。
その生キャラメルは、おそらくわたしがあげたものであろう。
食べてないどころか、開けてすらないのでわたしは不思議に思った。