海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。


それってなかなか厄介なことになりそう。


だって、海くんモテるから。


しかも海くんって普段女の子とほとんどしゃべらないから余計に。


だからわたしは二人きりになれる理科実験室を選んだ。


変に誤解されたくないもん。


そういえば、海くんは好きな人もいるんだし。


鍵を持って理科実験室に向かうと、扉の前で彼は待っていた。


ガチャリ


鍵を開けて中に入る。


「う~、寒っ」


「暖房つけよっか」


「うんっ」


海くんがエアコンをつけてくれているあいだに、

丸いすに座って大きめのテーブルに数学の教科書とノートを広げる。

< 66 / 220 >

この作品をシェア

pagetop