海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。
それってなかなか厄介なことになりそう。
だって、海くんモテるから。
しかも海くんって普段女の子とほとんどしゃべらないから余計に。
だからわたしは二人きりになれる理科実験室を選んだ。
変に誤解されたくないもん。
そういえば、海くんは好きな人もいるんだし。
鍵を持って理科実験室に向かうと、扉の前で彼は待っていた。
ガチャリ
鍵を開けて中に入る。
「う~、寒っ」
「暖房つけよっか」
「うんっ」
海くんがエアコンをつけてくれているあいだに、
丸いすに座って大きめのテーブルに数学の教科書とノートを広げる。