海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。
「わ、真っ暗!!」
学校は19時までに出なければいけないため、わたしたちは18:50に理科実験室を後にした。
約二時間ぶっ通しで数学に集中したのなんて生まれて初めてかも。
「疲れたぁ~、...って海くんのほうが疲れたよね!?」
鍵を返し、正門をくぐり抜け駅へと向かうわたしたち。
「全然疲れてないよ」
「いやいやいや」
「またいつでも言ってね」
「ありがとう...海くん、優しすぎるよ...!!」
こんな優しい人っているのかな?
「......折山さんにだけね」
「えっ?」
「ううん、こっちのはなし。
そうだ、頭使ったから甘いもの食べたくない?」
わたしの選んだマフラーを首に巻いている海くんはそう言って、カバンから生キャラメルを取り出した。