海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。
尚先輩とは10月の半ばに別れた。
それは......推薦入試の合格発表の日だった。
“律花ごめん、落ちた...”
“まだ一期も二期も、センター試験だってあるから、チャンスはいっぱいありますよ!!”
“律花......ごめん”
“え...?”
“距離を置きたい...”
“...受験に集中したいからですか......?”
“...うん。正直、律花のこと考える余裕がないんだ...”
“...わかりました”
わたしは“わかりました”しか言えなかった。
生まれてくるのが一年ちがうだけなのに、受験という目の前に立ちはだかった大きな壁に、わたしは立ち尽くすことしかできなかった。
...それ以来、尚先輩とは一度も話していない。
もう別れたも同然だった。