海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。


お昼休みが終わって、残り4、5限の2限だけとなった。


4限目は現代文で、5限目は理科実験室に移動だ。


4限目が終わり、みんな理科の教科書とノートを持って動き出す。


海くんが勉強を教えてくれた場所だ...。


ぞろぞろともう半分以上のクラスメイトが教室を後にして行く。


海くんはまだ隣に座っている。


海くんはけっこうマイペースだからいつも最後らへんに移動する。


「...」


わたしも、まだ動かなかった。


だけど、まだ席を立たないのは不自然だから、ロッカーでなにかを探すふりをしたの。


......これでぎりぎりの時間になって、もし後ろを振り返ったとき、彼がもういなかったら。


...もし、彼がまだ残っていたらーー。


「...折山さん、なに探してるの?」


...後ろから、彼の声がした。


わたしは思わず手が震えそうになり、心臓がトクンとジャンプした。

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