海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。
選択授業は今日は隣のクラスと合同で、中村くんも書道選択なのだ。
...そして、当たり前かのように海くんも同じ。
海くんは去年はなんだったんだろ。
音楽ではなかったはず。
...って、そんなこと知らなくていいか。
「俺、花鳥風月にしようかな~」
「綺麗すぎて斗真には似合わないよ」
「グサッ。俺の綺麗な心が傷ついた!!」
「うるさいよ」
聞こえてくるやり取りに思わずこっそり笑ってしまう。
海くん、中村くんにはあんななんだよね。
...わたしには、あんなに優しいのに。
でももう、あの優しさにときめいたりするのは、やめた。