海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。
「折山の作品、間違えて踏んで...破いた...」
中村くんはとてもとても言いにくそうにそう告げた。
「えっ」
わたしは驚いて手から筆を落としそうになった。
「ほんとーーーに、ごめん...!!!」
今日も相変わらず寒い気温なのに、中村くんは冷や汗をかいていた。
そんな彼に怒る気なんてまったく起きない。
「いいよ!放課後書き直すから」
既に書いた5枚は、もう捨ててしまった。
念のため、1枚置いておけばよかったなぁ。
「放課後手伝いたいけど、俺はずせない用事があって...」
「仕方ないな~、中村の代わりにわたしが手伝う!」
美帆ちゃんは呆れたように笑った。