【完】死が二人を分かつまで




ああ、あなたに名前を呼ばれたのは初めてだ。


私はベットから抜け出し、窓を開け、足を掛け、彼を見た。


「哀華!」 「近づかないで下さいっ!!」


ピタッと、彼の動きが止まる。


「近づいてきたら……私、ここから飛び下ります」


死ぬ時間が早まっただけ。


死ぬのはとても怖いけど、あなたに冷たい目を向けられることに比べたら、なんてことないの。


「馬鹿なことを言うな!早くこっちに……」


「来ないでってばっ!」


グッと、力を入れる。


看護師さんたちの慌てる声もする。


やめて、やめてよ。


私を哀れまないでよ。


「あと、2週間。あと、2週間であなたは自由になれたのにっ!!どうして、私を探したの!」


「お前に聞きたいことがあって……」


「何?愛人のこと?私が死んだ後に、妻に迎えればいいじゃない」


「違う!」


「じゃあ、何?」


もう、ヤケだった。


どうせ死ぬなら、関係ないって。


でも、貴方は。


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