【完】死が二人を分かつまで
「お前、病気なんだろう!?」
どうして、いつもみたいに放っておいてくれないのよ。
どうして、私に干渉してくるの?
今更……今更。
「そうよ。脳に腫瘍があるんだって。あと、2週間。あと、2週間で手遅れになるの。だから、私は……手術が可能な2週間を越えて、半年後に自然に死ぬまで、貴方に会わない気だった。一緒に暮らしてても、顔を合わせないんだもの。構わないでしょう?」
「……」
「手術だって、同意がいる。家族の同意……家族が、兄弟が、友達がいない私は、同意がないの!だから、このまま……きゃっ!?」
一瞬、だった。
手を離して落ちるすきすらも与えられないくらいの速さで、手首を引かれ、私は床に叩きつけられ……。
「……悪かった」
なかった。
ギュッと、抱き締められた。
初めての経験だった。
「やだっ、」
「哀華、哀華!大丈夫だから、俺はお前の敵じゃないから、怯えなくていいから!!」
人肌が怖い。
殴られる。
私に触らないでって思う。
傷だらけの背中に、丁寧に丁寧に縛り付けた状態で塩を塗り込んできた家内。
その度に私は、激痛にのたうち回った。