【完】死が二人を分かつまで
「哀華、悪かった……」
私は、死ぬんだよ?
「手術を、受けよう?」
泣きそうな顔で、あなたは残酷なことを言う。
「どうして……?」
「え?」
「どうして、私に手術を受けろなんて言うの?私、死にたいよ。誰からも求められてないんだもん。なら、死んだ方がマシだよ。こんな体で、あなたのそばにいたくない。だから、だから……お願いします。死なせてください」
懇願する。
けれど、腕の力が強まるだけで、解放はされなくて。
「嫌だ」
「なんで……」
「哀華の目が、顔が、心が、泣いている気がするから」
やめてよ。
そんなことを言わないでよ。
泣いちゃうじゃない。
我慢してたものが、溢れ出す。
「ー御門、夏咲、すまない。手術の件を、医師に話をつけてきてくれ」
「おう」「わかったわ」
後頭部を撫でられる。
あなたがずっと、好きだった。
初めてあった時から、
ずっと、ずっと、ずっと、ずっと。
ずっと、大好きだったんだよ。
だから、離婚するの。
あなたには幸せになって欲しいから。
なのに……。
「好きだ、哀華。家のためじゃなくて……お前一人を、俺はどうも好いているらしい」
「え……」
彼は家が大嫌いだ。
縛り付けるように家に、毎日うんざりとしていた。
だから、私との結婚も望まれていなかった。
分かってたわ。そんなことは。
なのに……私のことが好き?