【完】死が二人を分かつまで



「哀華、悪かった……」


私は、死ぬんだよ?


「手術を、受けよう?」


泣きそうな顔で、あなたは残酷なことを言う。


「どうして……?」


「え?」


「どうして、私に手術を受けろなんて言うの?私、死にたいよ。誰からも求められてないんだもん。なら、死んだ方がマシだよ。こんな体で、あなたのそばにいたくない。だから、だから……お願いします。死なせてください」


懇願する。


けれど、腕の力が強まるだけで、解放はされなくて。


「嫌だ」


「なんで……」


「哀華の目が、顔が、心が、泣いている気がするから」


やめてよ。


そんなことを言わないでよ。


泣いちゃうじゃない。


我慢してたものが、溢れ出す。


「ー御門、夏咲、すまない。手術の件を、医師に話をつけてきてくれ」


「おう」「わかったわ」


後頭部を撫でられる。


あなたがずっと、好きだった。


初めてあった時から、


ずっと、ずっと、ずっと、ずっと。


ずっと、大好きだったんだよ。


だから、離婚するの。


あなたには幸せになって欲しいから。


なのに……。


「好きだ、哀華。家のためじゃなくて……お前一人を、俺はどうも好いているらしい」


「え……」


彼は家が大嫌いだ。


縛り付けるように家に、毎日うんざりとしていた。


だから、私との結婚も望まれていなかった。


分かってたわ。そんなことは。


なのに……私のことが好き?


< 17 / 28 >

この作品をシェア

pagetop