【完】死が二人を分かつまで



「家の用意し嫁だと思うと、どうしても手を出せなかったが……そうだな。お前は、お前だった」


ただ、跡継ぎを作るためだけの結婚。


彼はそれが気に入らなかったらしく。


「死ぬな。俺と一緒に、生きてくれ」


「……っ」


「誓うから。あの結婚式では誓わなかったことも、全部」


やけに真剣な顔をして、彼は言った。


「ーこれからの人生は哀華を守り、悲しいときはそばに寄り添い、嬉しいときは共に喜び、夫として永遠に哀華を愛し続けることを誓います」


もう、言葉も出なかった。


冷たい誓いに、冷たいキスだった。


なのに。


「んっ……」


今は、倒れそうな程に熱くて。


泣き、崩れ落ちそうになった私を抱き支え、唇を重ね合わせてきた來斗さん。


「ふぁ……っ、っっ」


深く長い、初めてのキス。


「…………よし、これから可愛がる」


「へっ!?」


いきなり、なんの宣言!?


「わ、私、離婚……」


「ん?」


わぉ……綺麗な笑顔。


「い、家に置いてあったでしょ?あれ、書いてくれた?」


そのまま、放置されてるのかな?


それなら……。


「來斗!」


「御門、お、吊戯まで」


「上手くいったのか?」


まさかの無視。


< 18 / 28 >

この作品をシェア

pagetop