【完】死が二人を分かつまで
死がふたりを分かつまで
「おめでとう!」
お祝いの声が響く中、私は笑った。
ここは、ヨーロッパ。
そして、6月。
スッキリとした季節の中、私はウエディングドレスを身につけて、來斗さんの隣に並んでた。
「にしても、本当に無事に手術が終わってよかったね」
「吊戯さんたちがいいお医者様を紹介してくれたおかげだよ。ありがとう」
「來斗に相当、キレられたからなぁ……」
「キレたと言えば、まぁ、御坂のおっちゃんのキレ方が凄かったよな」
私は吊戯さんの紹介で、アメリカで手術を受けた。
正直、日本で受けても治る病気だったらしいんだけど、追っ手がかかる前に逃げようと……私達はアメリカに行き、手術後にヨーロッパ巡りをし、來斗さん……來斗のの要望で再び、結婚式を挙げることになった。
今日はその結婚式の日で、私は幸せに頬を緩めた。
日本では私の家族や、來斗の家族が血なまこになって私たちを探しているそうだ。
それを間接的に聞き、震える私を見て、來斗は笑い。
『帰ったら、殺されるから……あいつらがくたばるまで、世界中で生活しようか』
と、言い放った。
世界を回るということは、つまり、吊戯さんの会社を辞めるということで。
本当は私との結婚と同時に辞めるはずだったんだけど、意地として辞めなかった來斗。
その件で、折檻を受けたのが遠い日のようだ。
日本を飛び出してからというもの、來斗はとても大事にしてくれて。
辛いことも、何も無く。
日々、ただ、ただ、幸せを感じていた。