【完】死が二人を分かつまで
夫婦のあり方 side來斗
「……お前はいつまでいるんだよ」
家を出てきて、3週間。
家に妻がいると思うと、帰れない日々。
「わりぃ……」
「気にしないでください。來斗さん。我が家と思って、ゆっくりしてくださいね」
俺は今、社長……高校の同級生の桐江吊戯の家にいる。
彼の妻の桐江千華はいいと言ってくれてるが……。
「千華、こいつを甘やかすな」
「お友達じゃない」
「……けどな」
友達ということは、否定しないらしい。
なんか、嬉しいね。
「お前がいると、千華が抱かせてくれねぇんだよ」
「……すいません」
声を潜めて言うあたり、千華に聞こえるとヤバいらしい。
「夜、出ていこうか?」
「お前、家に新妻がいるだろ」
「……」
俺は笑ってごまかした。
「…………上手くいってないのか?」
「いや……昔からな、俺の後ろをついてくる女の子だったんだが、俺は家が嫌いだったから……冷たく接してたんだ。けれど、いつも笑って、俺についてまわる彼女に心惹かれていなかったかと問われれば、俺は惹かれてるんだろう。けど、それが、未来の嫁だってわかってたしな……やっぱり、素直に接することは出来なかった」
「それで?」
椅子を俺に奨めながら、自分も席につく吊戯はやっぱり、社長で。
千華はお茶を出してくれる。
「ありがとう」
「ううん、なんでも吐き出して?」
ついで、千華も席につく。