私の気持ちと君の想い
「いらないから食べて」
「……えっ……」
明莉が私の机の上にパンを置いていった。
「待って、これ……なんで私に……」
謎ばかり浮かんでくる私の頭は
既に歩き出している明莉を引き止め、声に出して聞いていた。
「お母さんが椿ちゃん椿ちゃんって
何度も言ってくるから。いい加減離して、しつこいんだけど」
仲良く話してた頃とは口調が違う……。
やっぱりもう、あの頃の明るい明莉は存在しないのかな。
「……そ、っか……。
ありがとう。ってお母さんに伝えておいて。
……それと、……大好きだった明莉にも」
目を見ながら私は伝え、じっと見つめた。
そこには、驚きながらも、懐かしい表情をする明莉がいた。
“ねえ、本当にあの頃の明莉はいないの?”
その疑問は、明莉をじっと見つめていたから分かった。
まだ、少しだけど……明莉はそこにいるんだと。
仮面をかぶって、そこにいるんだ。
和輝くんの事はいいから、もう一度……
もう一度でいいから。
チャンスを下さい。
明莉と友達になれるチャンスを──。