私の気持ちと君の想い





店員に案内され、テーブル席についた。




「何、頼みますか?」




お姉さんが聞いてくる。




「温かい飲み物の方がいいですね……

やっぱりコーヒーが飲みたいです」




「飲めるんですね……。私が注文しますね」




「ありがとうございます」




お姉さん、コーヒー飲めないのかな。





そう思いながら、紅茶とコーヒーを




頼む、お姉さんをじっと見つめた。









なんて考えながら待っていると飲み物が届いた。





「お姉さんって……コーヒー、飲めないんですか?」




恐る恐る聞いた。




「……はい、飲めないです。

苦いのがだめというか……なんというか…………」





「お姉さんならきっと、飲めると思います。

試しに、私のコーヒー飲んでみます?」




晴翔くんだって、初めは飲めなかったけれど




私のコーヒーは飲めた。




ミルク多めでシロップも入ってる。




お姉さんは、ゆっくりと




コーヒーの入った カップを、口に運んだ。




「…………」




あれ、苦かったかな……?





「美味しいです!!」




びっくりした。




いきなり大声で叫ぶお姉さんに驚きながらも




「そう言ってもらえて嬉しいです!

飲めるって信じてました!」




「私でもコーヒーを美味しい、と思えるなんて……

信じられない。あんなに苦くて飲めなかったのに


なんでですか? なにをしたんですか??」




興味津々……。




釣り竿に付けられた餌にひっかかり、




思いっきり引っ張り、逃げようと焦る魚みたいな勢い。




「簡単なことですよ?

甘くしようと、シロップを多く入れるのではなく

ミルクを多く入れればいいだけのことです!

ミルクは苦味を消してくれますから!」




「そ、そうだったんですね……!

知りませんでした。次から自分でもやってみます……」




そんな方法があったのか!なんて顔をしてた。




こういう所は、兄弟そっくりなんだなぁ。




晴翔くんに教えてあげたくなった。




『晴翔くんの憧れのお姉さんは、晴翔くんみたいに

コーヒーが苦手なんだって』




でも……そんな風に教えたら




憧れなんかじゃなくなったりしたら




私嫌だな。やめとこう。




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