私の気持ちと君の想い
自動販売機まで、早歩きをして行くと
ちょうど、何買うか迷っている
先輩がいた。
「あら、この前見た時より
ずいぶん元気そうね」
先輩が私に気付き、声をかけてきた。
「おかげさまで……
あの時、正門の前で声かけて下さり
ありがとうございます!
あの時、先輩に声かけて
もらえなかったら、私……
座り込んだまま
立てなかったかもしれないです」
「いいのよ。
私もあなた達に救われたから。
本当に感謝してるの。
……そうだ。なにか奢るわよ」
「え、いいんですか…?」
私が聞き返すと
「ええ、好きなもの選びなさい」
と、お金を入れ始めた。
少し、申し訳ないな……
なんて思ったけれど。
先輩の気持ちを受け取るように、
「じゃあ、コーヒー牛乳で……」
ゆっくりと、ボタンを押した。
ガタン──。
パックに入った
コーヒー牛乳が落ちてくる。
「ありがとうございます」
私は、コーヒー牛乳を取りながら
そう言った。
「最近、どうなのよ」
先輩が言った。
「最近……?ですか?」
「あなた達のおかげで
私に、素敵な彼氏ができたから。
あなたにも幸せになって欲しいのよ」
「そう、ですか。
最近は、恋っていうものが少し
分からなくなってて。
今抱えている気持ちが、どういう感情なのか。
いまいちピンと来なくて、困ってます」
「恋が分からない?そうね……
誰か気になる人はいないの?
私は、九条くんとあなたが
付き合って欲しいと思ってるんだけど
なんか特別な気持ちになったりしない?」
「特別な気持ち……?
うーん。晴翔くんと話すと
とっても楽しくて、自然と笑顔になってて
ドキドキして顔見れなくなったり、
少し顔が熱くなったり
晴翔くんの予想外の行動に
時々、少し驚いて、嬉しくなったりします」
「なんだ、恋してるじゃないの」
「えっ??これが、恋…です、か?」
「そうよ。あなた充分恋してるわよ。
九条くんのこと、いつの間にか
好きになってたのね。
さすが九条くんだわ」
そっか、これが恋なんだ。
私、好きになるから!って言いながら
実はもう、晴翔くんのこと
好きだったんだ。
気付かなかった。
「先輩、教えてくれて
ありがとうございます!
教室戻ってもいいですか??
今、すっごく晴翔くんの声が
聞きたくなってしまって……」
「えぇ、いいわよ。いってきなさい」
「ありがとうございます!
お先に失礼します!!」
急いで教室に戻ろう。
私は、走って教室に向かった。