私の気持ちと君の想い
「あったあった。よし、帰ろっと」
私はカバンを持ち、晴翔くんの部屋を出ると
「あれ、椿もう帰んの?」
目の前で晴翔くんは待っていて、そう呼び止められた。
「うん、帰るよ。
お母さんに連絡するの忘れてて、心配かけてるから
帰って来いって言ってたし。また明日ね」
少し寂しい気もしていたが、お母さんの為にも
早く話を終えて家に帰ろうと、私は歩き出す。
「待てよ、夜遅いし家まで俺が送るよ」
晴翔くんは、私の腕を掴み そう言った。
夜が遅いというよりか、今の季節は日が暮れるのが早いので
既に外が真っ暗なのだ。
街灯の無いところは足元も見えず、道の先が分からないので
人通りもほとんど無く、一人で帰るのは正直危ないのかもしれない。
こういう所で気遣いが出来る晴翔くんは、とても優しい。
「いいの?じゃあ、お言葉に甘えて送ってもらおうかな……?」
「うん、いいよ。
わざわざ家に来てくれたんだし。
これぐらい普通にするよ」
「そっか。じゃあ……行こっか」
「姉ちゃん、椿の事家まで送ってくるから」
晴翔くんがお姉さんにそう言ってから、私達は家を出た。