私の気持ちと君の想い
「はい。本当に優しいですよね。
放課後に時間まで作ってもらい、私は漢字のノートと筆記用具だけ机に出して、先生は私の隣にいてくれました。
それだけで私は、安心しました。
テストでは、100問一気に受けるのではなく、ずるいのかも知れませんが、特別に5問ずつ受けさせてくれました。
まずは その5問をこれでもか!という程、ひたすらノートに書いて書いて、書きまくって覚えました。
そして、覚えたな。と思ったら今度は、その5問だけのテストを行います。
その繰り返しをしました。
そして、何回も繰り返し終えてなんとか98点を取り、テストに合格する事が出来ました。
例えるなら100問を一気にやるという大きな山を超えるよりは
1つ1つ、小さな山を地道に乗り越えることで、その漢字も覚えることが出来ました。
その案を出してくれたおかげで、必死に頑張った後の達成感や喜びを知り、勉強するのってこんなに楽しいんだと、この時初めて知りました。
それからの私は、勉強に対しての考え方が変わりました。
宿題もちゃんとするようになり、授業でもノートを取り、先生の言ったこともメモするようになり、思いっ切り変わることが出来ました。
きっかけって、とても大事ですよね」
話に聞き込みすぎて相づちするのも忘れていた。
「すごい、ですね。そんなにお姉さんを変えるなんて、びっくりしました。
その内田先生という方に出会えて、教師になろうと思ったんですよね?」
「そうです。この事があったから私は今、教師を目指して大学に通っています。
晴翔から、椿さんも教師になろうか悩んでいると聞きましたよ」