私の気持ちと君の想い
誰かが廊下を走ってこっちにくる足音が聞こえた。
私は、和輝くんが戻ってきたんじゃないかって少しだけ、本当にほんの少しだけ期待をした。
「やっべぇ、忘れ物した〜」
そう言って、教室に入ってきたのは同じクラスの九条 晴翔(くじょう はると)くん。
わたしは、とっさに窓の方を向いて、セーラー服の袖口で涙を拭いた。
「あれ、椿…?まだ残ってたのか?でもさっきお前の彼氏……下駄箱で見たけど…」
私は、黙った。
なぜなら、さっきまで泣いていた私は
今声を出したら、泣いていたのがバレると思ったからだ。
でも、黙っているのも余計に怪しまれて……。