私の気持ちと君の想い





「私から振ったの」




「なんで?あんなに好きだったじゃん」




「本当、何してんだろうね……私…」




「今からでも行ってこいよ、まだ間に合うだろ」




「ううんっ、いいの…!」




「なんでだよ」




「だってあのまま付き合ってても私が辛いだけだもん」




「そっか……、大丈夫か?」




「大丈夫」




「嘘つくなよ、大丈夫じゃないだろ」




九条くんの言う通り、全然大丈夫なんかじゃない。




「見栄はんなよ」




「だって……泣いたら九条くんに迷惑かけちゃうから…っ…」




すでに泣きそうだった。




「俺の前では無理すんなよ」




「で、でもっ……」




涙が溢れ出しそうになる。




「いいから、泣きたい時に泣けよ、俺がついててやるからよ」




九条くんはそう言って、私の手をひっぱり勢いよく引き寄せられ、私の事を強く抱きしめた。




勢いよく引き寄せられた反動で、私の長い黒髪がふわっと少し上に舞い上がった。




抱きしめる強さがちょうど良くて、泣いていいよって体に語りかけられてるようで。




抱きしめられたまま




私は、泣いてしまった。




< 8 / 225 >

この作品をシェア

pagetop