私の気持ちと君の想い





「……懐かしい、な…ぁ……」




私は小声でそういった。




「何が?」




おんぶされているのだから




小声で言ったって




当然聞こえる。




「付き合ったばかりの頃もさ、

私歩道橋の階段で転んだよね」




「そういえば前転んだ時もあの場所だったなあ」




「覚えててくれたんだ?」




「当たり前だろ」




「そっか、嬉しい」




そう、あの日。




付き合ったその日の事。




初めて一緒に帰るってなって




テンション上がりすぎちゃってた。




足元見てなくて上ばっか見上げてたり、




和輝くんの横顔ばっかり見てたり?




私なんかと付き合ってくれた事が嬉しくて




『私なんかでいいの?』




なんて聞いたこともあったっけ……。




そしたら




『私なんか、じゃなくて椿がいいの』




この時初めて名前で呼んでくれたよねっ。




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